運行トラブルをなくすために カメラが密着 実録・熊本市電の〈添乗指導〉 (24/10/30

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  • Опубликовано: 2 дек 2024
  • 熊本市電の『添乗指導』です。『添乗指導』とはベテラン職員が営業中の車両に乗り込んで乗務員の技能を監査し教育するものです。
    運行トラブルが相次ぎ、安全への態勢立て直しが求められている今、熊本市交通局で強化しているものの一つが『添乗指導』です。今回、初めてその現場にカメラが入りました。
    (10月22日 午前10時前)
    【監督職員 江口靖夫さん(52)】
    (どういうところを見るのですか?)
    「インシデントが多いので確認呼称です。あとは状況に応じた運転速度。若い方を指導しますので、発車やブレーキの際の衝動がないか。そして戸閉めです」
    添乗指導を担当する江口 靖夫さん。21年間、市営バスの運転士を務め、バス廃止後は市電の運転士に。近年は時刻表、いわゆるダイヤの作成も担当しました。
    【添乗指導を受ける 松下 源 運転士(26)】
    (運転士になってどのくらいですか?)
    「10月1日に独り立ちをしましたので、まだ1カ月たたないです。頑張ります」
    添乗指導は原則、事前通告はありません。場合によっては運転士が気づかないうちに監督職員が乗り込み、始まっていることもあるといいます。
    新人・松下運転士がこの日に乗る電車は使用年数69年。熊本市交通局で2番目に古い車両です。
    【松下運転士のアナウンス】
    「動きますのでご注意ください」
    「交通局前で乗務員交代致しました。松下がご案内致します。宜しくお願い致します」
    お客さんを乗せた営業車両内での添乗指導スタートです。
    (1月5日 熊本市交通局会見)
    「大変申し訳ありませんでした」
    (5月8日 熊本市交通局会見)
    「深くおわび申し上げます」
    (5月14日大西市長会見)
    「大変申しありませんでした」
    市電の運行を担う熊本市交通局では、今年5月までの5カ月間で重大インシデント2件を含む7件のトラブルが発生し、5月には外部の有識者による検証委員会が発足。
    しかし、その後もトラブルは続き、7月には脱線という重大事故が起きてしまいます。今年、これまでに発生したトラブルは計12件。交通事業管理者が職員との面談を兼ねた点呼を行ったり、全職員を対象とした研修を実施するなどしています。
    検証委員会は、運転士へのヒアリングから「運行遅延への潜在的なプレッシャーがあった」など、課題を挙げました。『添乗指導』は、検証委員会が中間報告の中で必要性を指摘したものの一つです。
    【熊本市交通局 運行管理課 荒木 敏雄 副課長】
    「(添乗指導は)以前からやっていたがインシデントが続くことから強化して、回数とか、その辺も見直して、体制も整えてやっているところです」
    交通局前を出発した車両は市中心部を通り、上熊本までのルートを走ります。
    【松下運転士アナウンス】
    「閉まるドア、ご注意ください。左後方よし。気圧よし。戸閉めよし。動きますのでご注意ください。次は水道町でございます」
    【監督職員・江口さん】
    「直線はあまり速いと電車が揺れるから、できるだけゆっくり行こう。よし、オッケー」
    【松下運転士のアナウンス】
    「ご乗車ありがとうございました。水道町でございます。お降りの際はお足元の段差にご注意ください」
    【監督職員・江口さん】
    「(客へ)ありがとうございました」
    【松下運転士のアナウンス】
    「停止信号でございますので発車までお待ちください」
    【監督職員・江口さん】
    「(運転操作レバー)こんな感じで中立にしとかんと止まらんけんね。少し残しとった方がいい。でないと、もし車が来たときにガシャンと当たる」
    【松下運転士】
    「はい」
    【江口さん】
    「そして、こう握った方がいい。何かあったときにこうできるから」
    【松下運転士】
    「はい、分かりました。上熊本行き発車します。ドア閉まります。左後方よし。動きますのでご注意ください」
    【江口さん】「中立、中立、そうそう」
    【松下運転士のアナウンス】
    「次は通町筋でございます」
    【江口さん】
    「オッケー」
    熊本市役所付近、カーブを前にした交差点で信号停車しました。
    【江口さん】
    「電車と離合する(すれ違う)とき、もう少しここら辺に来たとき、ブレーキをかけとった方がいい。ブレーキがかかっとらんと(右折してくる車と)当たるけん。特に交差点は離合するとき用心しとかんと車がバーッと来るけんね。お願いしますね」
    【松下運転士】
    「はい」
    すれ違う電車の後ろから車が出てくることがあります。早めにスピードを緩め、接触事故回避に務めます。
    上熊本行きの電車が新町を過ぎたあたりで雨が降り出しました。
    【江口さん】
    「ちょっと滑りやすくなるけん、電停に入る前に少しエア(ブレーキ)を1本入れてから入ってごらん」
    【松下運転士】
    「はい」
    「次は段山町でございます」
    【江口さん】
    「少しエア(ブレーキ)入れて。そしたら、いつでも止まれるけん」
    【松下運転士】
    「分かりました」
    【江口さん】
    「車が方向指示器出した時は『来る』と思っとかないかん。そしたら、絶対当たらんけん」
    【松下運転士】
    「はい」
    【松下運転士アナウンス】
    「動きます。次は杉塘(すぎども)でございます」
    【江口さん】
    「この先は『抜け道』が多いけん、左右キョロキョロして横断歩道に歩行者がいたりしたら、ブレーキかけようね」
    【松下運転士】
    「はい」
    細い道から入ってくる車や人への注意、江口さんの経験に基づくアドバイスです。
    【松下運転士のアナウンス】
    「次は終点の上熊本でございます。お降りのご支度をお願いいたします」
    (終点近くで左から車が・・・)
    【江口さん】
    「大丈夫かな。(車が)ふとく(大きく)回るかもしれんけんね。よし」
    【松下運転士のアナウンス】
    「本日も市電のご利用ありがとうございました。お忘れ物がないよう、お手回り品いま一度ご確認ください。雨のためお足元滑りやすくなっております。この先もお気をつけてご移動ください。終点・上熊本でございます」
    【江口さん】
    「はい。おつかれさまでした」
    (乗客が降りる)
    「ありがとうございました」
    【江口さん】
    「緊張したろ? 隣におったけん」
    【松下運転士】
    「緊張しました」
    【江口さん】
    「この役は人から恨まれる役だけん。でも恨まれてもいいと思う。何でかと言うと、松下くんが事故を起こして傷つかんために言いよるとだけん。大丈夫、大丈夫。案内(アナウンス)もいいね」
    江口さんは、松下運転士のいいところをほめることも忘れませんでした。
    【松下源運転士】
    「まだまだ緊張して運転することに精いっぱいですが、お客さまへの感謝の気持ちを忘れずに丁寧な接客を心掛けたいです。安心安全で目的地までお運びすることはもちろん、乗ってよかったと思われるような運転士になれるよう頑張りたいと思います」
    【江口さん】
    「行けないと思ったら止まる勇気も必要。もし、そこで1分遅れたらその1分はどこで取り戻すかというと、次またチャンスがあると思います。効率のいい運行をしていけば、遅延回復にもつながると思うんですけど、若いから、どんどん経験して次につながることと信じています」
    運行トラブルゼロの安全運行へ。

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